2009-08-14

夕刻

 乱反射し続ける、無数の橙色の光の槍に、刺し貫かれて。

 暗い通廊の先、果てしなく続くと思われた暗いトンネル突き当たりには白い扉があった。扉のノブは銀の回転式で、握るとそれが丁寧な削り出しで加工されたアルミニウム製であることが分かった。今の僕にためらい全くない、静かに扉を押し開けると、僕の視界は一瞬ブラックアウトし、ついで溢れる様な光の塊に遮られた。橙色の光の槍は僕の網膜を傷つけた。
 部屋は(おそらく)白い部屋で、僕の正面は一面のガラス張りになっており、夕刻の光が部屋を満たしていた。白い部屋の中で、焼けるような夕陽の光の柱は乱反射して、僕の視界の端々を曇らせて正確な視界を保つことを困難にしていた。その光の塊の中に目を凝らすと、ガラス張りの前に一人、僕に背を向けて立っている人影があった。その人影は、予期せぬ来訪者である僕に対して、反応した素振りを全く見せない、それどころか、身動きひとつしない。僕は言った。
「きたぞ。」
「・・・・・だ。」
人影は、背を向けたまま、そう言った。
「きたぞ。」
 僕は二度言った。人影は答えなかった。
「はっきりさせなければならない。」
 人影は答えなかった。僕は、胸ポケットから、ペンシル型のコントローラーを取り出した。「これが、トリガーだ」
 今度は、人影は答えた。
「そう、急く必要はないんじゃないかな?時間は、たっぷりある。」
「しかし、・・・・・かもしれ・・。」「そう・・・・・、・・・題はそこでは・・・・。」
自分で発する声が聴こえない、「!!・・・・・!」
「・・・・そ、」
次第に、言葉が抜け落ちていく、僕の言葉も、人影の言葉も、次第に遠のいていくように感じる、壁一面の窓の夕陽が、光の槍の余韻が・・・・。