2007-03-25

『On the beach at night alone』 -夜、浜辺で一人

On the beach at night alone,
As the old mother sways her to and fro singing her husky song,
As I watch the bright stars shining, I think a thought of the clef of the universes and of the future.
A vast similitude interlocks all,
All spheres, grown, ungrown, small, large, suns, moons, planets,
All distances of place however wide,
All distances of time, all inanimate forms,
All souls, all living bodies though they be ever so different, or in different worlds,
All gaseous, waterly, vegetable, mineral, processes, the fishes, the brutes,
All nations, colors, barbarisms, civilizations, languages,
All identities that have existed or may exist on this globe, or any globe,
All lives and deaths, all of the past, present, future,
This vast similitude spans them, and always has spann’d,
And shall forever span them and compactly hold and enclose them.

(English)


夜、浜辺で一人、
老婆が海を前へ後ろへと揺らして、しゃがれた歌を歌い掛ける時、
明星の輝きを見るとき、私は未来や宇宙の思索に想いを馳せる。
全てに於いて、果てしない類似が組み合わさる、
全ての天体、誕生したもの、していないもの、小さいもの、大きいもの、恒星、月、惑星、
全てのありえぬ程広大な場所の隔たり、
全ての果てなく経てきた時、全ての魂の抜けた人型、
全ての魂、例えが大きな違いがあり、あるいは違う世界に住んでいる全ての肉体、
全ての気体、液体、植物、鉱物、加工品、魚、獣、
全ての国、肌の色、バーバリズム、文明、言語、
この地球上に、或いは他の天体に存在する、又存在するかも知れない全てのアイデンティティー、
全ての生、死、全ての過去、現在、未来、
このおびただしい相似は全てに遍満し、遍満し続けている,
そして永遠に遍満し、かたく抱擁し、押し包むだろう

(Japanese)

Translate: M.Y

2007-03-19

自家栽培 - Seed of Banana


 近頃、お金を使うのが勿体無いので、なるべく栽培しようとしてます。ハーブとか、一度の料理に使う分量はちょっとなのに、結構な量を買わなくてはなりません。そんな訳で、ハーブを始めたのが一年前。今ではやたらに生い茂るローズマリーに、手を焼いています。
 そして今、薬味ではなく、もっとお腹にたまるものは無いだろうかと思案に暮れる中、思い出したのが、昔、公園に植えたバナナの木です。子供の頃の話ですから、今でもあるか分かりません。あの懐かしい公園に、久々に足を伸ばすことにしました。
 夜、人目を盗んで公園に向かいます。風は冷たく、病み上がりの僕の身には、少々辛い。ぼろ雑巾のようなダウンジャケットを体に巻きつけると、少しだけ寒さがしのげました。
「あうーん」
と、犬の遠吠え。これでは益々、寒さが募るというものです。
忌々しい犬め、と僕は一人呟きました。少し狭い路地に入り込んだ場所に、例の場所はあります。暗い木陰の枝はその手を狭い道一杯に張り巡らせ僕の行く手を遮り、僕の心を握りつぶそうと手を伸ばします。ああ、こんな事になるなら、バナナなど放っておいて、家のコタツで暖まっていれば良かったと、何度も後悔しました。しかし、すでに影の間に囚われて居る僕には、もう進むしかありません。僕は真黄色のバナナを思い浮かべ、口の中にあの甘い味わいを想像しながら進みました。

 辺りが、急に開けました。そこは、公園でした。昔、僕が種から植えたバナナが育っているはずの公園でした。何にもありません。ベンチも、ブランコも、滑り台も、公園それ自体も。只の空き地でした。只の草地です。ちょっとした木の柵が設けられており、そこにはトタンの看板で、「行政管理」とだけ、書いてありました。僕の心の中のバナナは、アドバルーンでした。飛ぶだけ飛んで、バスンと割れました。
 
 ふう、吐息をつぐと、僕は首を上げました。すると、僕の目には、意外なものが飛び込んできました。なんと、たわわに実るバナナの実の房ではありませんか!この寒風に、凛々しくそそり立つ、バナナの実。僕は迷わず、その実を毟り取りました。
 そのバナナの木は、元公園の際に立っていて、すぐにはそれと気づくことはできなかったのです。
「うわはは、青い鳥、青い鳥」
と口走りながら、僕は夢中でバナナを毟りました。そして手に一杯のバナナを抱えて、僕は一目散に家を目指します。暗い路地を抜けて、住宅街を走りぬけ、長い坂を駆け下りて、そしてまた、前より長い坂を息を切らして上りきり。そしてはしりながら、僕は楽しかった子供の頃を思い出しました。

 家に駆け込んで、バナナ毎体を投げ打って、僕は大の字に寝転がりました。荒い吐息、甘いバナナの香り、懐かしい思い出。ああ、明日は川の緑藻を取りにいこう。あれは海苔の代わりになるのです。
 僕は一人なのに「ははは」、と笑いました。




Photo & Fancy: M.Y

Camera: Kyocera WX300k

Location: Le Select (Senzokuike, Ota-ku, Tokyo)
 
 

2007-03-14

The Ship Starting

Lo the unbounded sea

On its breast a ship starting, spreading all sails, carrying even her moonsails,

The pennant is flying aloft as she speeds she speeds so stately,

--- below emulous waves press forward,

They surround the ship with shining curving motions foam.

(English)

果てない海よ、

その只中を一隻の船が発つ、すべての帆を押し広げ、ムーンスル迄もを掲げて、

威風を放ちながら船は速度を上げ、また上げるゆえに、ペナントは遥か上方で風に流れる。

 --- 足元では波も競って前進する。

波は輝きうねりをあげて、軌道を泡立たせ、船を取り囲む。

(Japanese)

Poem: Walt Whitman

Translate: M.Y

2007-03-04

Earth Beat - Structure


 海岸沿いのボードウォークの上、コツリコツリと鳴る足音。空は淀んでいて、若干暗い。海岸はコンクリートで塗り固められ、壁と、随所に設置された金属製の柵によって遮られてすぐ間近の海は見えない。その壁を越えて、僕は群青色の海の先を見る。まだそれほど遠くはない海と川の丁度中間の辺りに、突き出るようにそそり立つ、構造物があった。何かの作りかけのように見える構造物、それは恐らく海中に杭を立てたかったものではないか、と僕は思った。その先端は少し崩れかけていて、錆びた鉄筋のようなもの顔を覗かせていた。耳に微かに聞こえてくる、何かの音、金属を打ち鳴らすような音に惹かれて、僕はここに来たのだった。その音は、あの構造物の中から聞こえてくるのかも知れない。僕はそれを確かめるために、更に進んでみた。

 淀む空の気配、浜辺の風、そして、空を横切る巨大な飛行機。その巨体は、今にも地面に降り立つかのように低く迫るように飛んでいる。その腹の影が一瞬、群青色の海の上を横切り、僕の中も横切っていった。鳥の鳴き声は長く尾を引き、生々しく聞こえた。それは、眠る前に耳にする近所の猫の鳴き声そっくりだった。僕は歩いた、しかし。

僕は、その好奇心とは裏腹に、ひどく眠かった。草叢に落ちるように腰を掛け、しばらくの休憩。あの金属音は、まだ微かに、耳の中で鳴っている。


Photo & Fancy: M.Y
Camera: Kyocera WX300K
Retouch Software: Picasa2
Location: WW studio