
近頃、お金を使うのが勿体無いので、なるべく栽培しようとしてます。ハーブとか、一度の料理に使う分量はちょっとなのに、結構な量を買わなくてはなりません。そんな訳で、ハーブを始めたのが一年前。今ではやたらに生い茂るローズマリーに、手を焼いています。
そして今、薬味ではなく、もっとお腹にたまるものは無いだろうかと思案に暮れる中、思い出したのが、昔、公園に植えたバナナの木です。子供の頃の話ですから、今でもあるか分かりません。あの懐かしい公園に、久々に足を伸ばすことにしました。
夜、人目を盗んで公園に向かいます。風は冷たく、病み上がりの僕の身には、少々辛い。ぼろ雑巾のようなダウンジャケットを体に巻きつけると、少しだけ寒さがしのげました。
「あうーん」
と、犬の遠吠え。これでは益々、寒さが募るというものです。
忌々しい犬め、と僕は一人呟きました。少し狭い路地に入り込んだ場所に、例の場所はあります。暗い木陰の枝はその手を狭い道一杯に張り巡らせ僕の行く手を遮り、僕の心を握りつぶそうと手を伸ばします。ああ、こんな事になるなら、バナナなど放っておいて、家のコタツで暖まっていれば良かったと、何度も後悔しました。しかし、すでに影の間に囚われて居る僕には、もう進むしかありません。僕は真黄色のバナナを思い浮かべ、口の中にあの甘い味わいを想像しながら進みました。
辺りが、急に開けました。そこは、公園でした。昔、僕が種から植えたバナナが育っているはずの公園でした。何にもありません。ベンチも、ブランコも、滑り台も、公園それ自体も。只の空き地でした。只の草地です。ちょっとした木の柵が設けられており、そこにはトタンの看板で、「行政管理」とだけ、書いてありました。僕の心の中のバナナは、アドバルーンでした。飛ぶだけ飛んで、バスンと割れました。
ふう、吐息をつぐと、僕は首を上げました。すると、僕の目には、意外なものが飛び込んできました。なんと、たわわに実るバナナの実の房ではありませんか!この寒風に、凛々しくそそり立つ、バナナの実。僕は迷わず、その実を毟り取りました。
そのバナナの木は、元公園の際に立っていて、すぐにはそれと気づくことはできなかったのです。
「うわはは、青い鳥、青い鳥」
と口走りながら、僕は夢中でバナナを毟りました。そして手に一杯のバナナを抱えて、僕は一目散に家を目指します。暗い路地を抜けて、住宅街を走りぬけ、長い坂を駆け下りて、そしてまた、前より長い坂を息を切らして上りきり。そしてはしりながら、僕は楽しかった子供の頃を思い出しました。
家に駆け込んで、バナナ毎体を投げ打って、僕は大の字に寝転がりました。荒い吐息、甘いバナナの香り、懐かしい思い出。ああ、明日は川の緑藻を取りにいこう。あれは海苔の代わりになるのです。
僕は一人なのに「ははは」、と笑いました。
そして今、薬味ではなく、もっとお腹にたまるものは無いだろうかと思案に暮れる中、思い出したのが、昔、公園に植えたバナナの木です。子供の頃の話ですから、今でもあるか分かりません。あの懐かしい公園に、久々に足を伸ばすことにしました。
夜、人目を盗んで公園に向かいます。風は冷たく、病み上がりの僕の身には、少々辛い。ぼろ雑巾のようなダウンジャケットを体に巻きつけると、少しだけ寒さがしのげました。
「あうーん」
と、犬の遠吠え。これでは益々、寒さが募るというものです。
忌々しい犬め、と僕は一人呟きました。少し狭い路地に入り込んだ場所に、例の場所はあります。暗い木陰の枝はその手を狭い道一杯に張り巡らせ僕の行く手を遮り、僕の心を握りつぶそうと手を伸ばします。ああ、こんな事になるなら、バナナなど放っておいて、家のコタツで暖まっていれば良かったと、何度も後悔しました。しかし、すでに影の間に囚われて居る僕には、もう進むしかありません。僕は真黄色のバナナを思い浮かべ、口の中にあの甘い味わいを想像しながら進みました。
辺りが、急に開けました。そこは、公園でした。昔、僕が種から植えたバナナが育っているはずの公園でした。何にもありません。ベンチも、ブランコも、滑り台も、公園それ自体も。只の空き地でした。只の草地です。ちょっとした木の柵が設けられており、そこにはトタンの看板で、「行政管理」とだけ、書いてありました。僕の心の中のバナナは、アドバルーンでした。飛ぶだけ飛んで、バスンと割れました。
ふう、吐息をつぐと、僕は首を上げました。すると、僕の目には、意外なものが飛び込んできました。なんと、たわわに実るバナナの実の房ではありませんか!この寒風に、凛々しくそそり立つ、バナナの実。僕は迷わず、その実を毟り取りました。
そのバナナの木は、元公園の際に立っていて、すぐにはそれと気づくことはできなかったのです。
「うわはは、青い鳥、青い鳥」
と口走りながら、僕は夢中でバナナを毟りました。そして手に一杯のバナナを抱えて、僕は一目散に家を目指します。暗い路地を抜けて、住宅街を走りぬけ、長い坂を駆け下りて、そしてまた、前より長い坂を息を切らして上りきり。そしてはしりながら、僕は楽しかった子供の頃を思い出しました。
家に駆け込んで、バナナ毎体を投げ打って、僕は大の字に寝転がりました。荒い吐息、甘いバナナの香り、懐かしい思い出。ああ、明日は川の緑藻を取りにいこう。あれは海苔の代わりになるのです。
僕は一人なのに「ははは」、と笑いました。
Photo & Fancy: M.Y
Camera: Kyocera WX300k
Location: Le Select (Senzokuike, Ota-ku, Tokyo)
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