夜っぴて走りつづけて、もういい加減僕は疲れ果ててしまい、ちょっとした坂でペダルにどうにも力が入らない始末。桜田通りを三田方面にひた走り、ついに飯倉の交差点で僕は力尽きて、アイスクリームを食べることにした。
「ちょっと。」
僕は少し迷ってから、交差点で立哨する警察官に声を掛けた。「ここいらで、今時分、一番うまいアイスを食わせる店を知らないか?」
警察官は「そこをすすんで左に曲がって、ちょっと行った所にある。」と、こちらを一瞥もしないでいった。
ふーん・・・・・・・。
警察官が示した先はちょっとだけ坂が続き、そこにはロシア大使館があり、無数の警官が外壁の周りを警備していた。その大使館の角を曲がると、今度はちょっとした下り坂で、左右にはレンガと漆喰造りの建物が立ち並んでいた。まるで外国の町並みだ。坂をそれほど下りない内に、その店はあった。単なるコンビニエンスストアだった。僕はしてやられてたと思った。もう僕の足では坂を登って警察官に苦情を申し立てることは出来ない。仕方ないので、その店でアイスを物色したが、僕は更に落胆した、なんと一番食べたかったチョコミントが無いではないか!
・・・・・・
僕は店を出て、チョコチップのアイスクリームの封を切った。そして、その時、先程の警察官が僕を謀ったわけではないことを知った。
下りきらない坂から、眼下に大海を望むことが出来た。「粋なマネをしやがって。」
朝日で波は痛い位輝かしく、波のざわめきや体を吹きぬけるさわやかな風が僕にミントを想い起こさせた。