21世紀の始まりの20年間は多くの既成概念が崩壊した、まさに「失われた20年」と言えるだろう。1990年代は多くの社会主義国家が崩壊し、資本主義がほぼ世界を手中に収めたかに見えたが、その資本主義もまた度重なるバブル崩壊によりその体制基盤が大きく揺らぎ破綻した。その様は多くの経済学者が予見したようなカタストロフではなく、静かに砂の城が崩れるような緩慢な死であった。経済はその行き過ぎたグローバリズムを反省するかのように地域毎に分断され、孤立化していった。かつて強大な通貨と軍事力で覇を唱えたアメリカは沈黙し、日本は知らぬ間に中国の傘下に組み込まれた。
アメリカに限らず日本もかつての力を失い、最終的に政府は国の運営を放棄した。いわゆる、「列島割譲」である。中国の旧満州地方のごく一部と引き換えに、多摩川から西半分を中国に譲渡したのだ。名目上は自給率上昇の為の耕作地の確保と、それの代償としての割譲であったが、事実上の併合であった。
日本国民は、政府から廃棄されたのだった。
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